ハンドメイドアクセサリーのディスプレイ方法 〜#5 目線の位置を意識する〜
ハンドメイドアクセサリー作家さんのために、ディスプレイの仕方についてまとめています。
アクセサリーメーカーで、店舗のディスプレイ作りを長年してきた私が、感覚的になりがちなディスプレイの作り方について、分かりやすく説明します。
ディスプレイ8つのポイント
ポイント#1 商品コンセプトを頭に入れてスタートする
ポイント#2 空間を作る意識
ポイント#3 アイキャッチを作る
ポイント#4 グルーピング
ポイント#5 目線の位置を意識する
ポイント#6 細部を意識する(POPで引き込む)
ポイント#7 引きの目線チェック
ポイント#8 ライティングの調整
今回は目線の位置を意識する重要性についてお伝えします
前回は『ポイント#4 グルーピング』
ディスプレイをする際に、グルーピングでまとまりを作る利点についてお伝えしました。
今回は、『ポイント#5 目線の位置を意識する』です。
まだまだお読みでない方はこちら
accessorybranding.hatenadiary.jp
この記事はこんな方に役に立ちます。
- ディスプレイでいつも悩んでしまう方。
- 商品を並べると作品が素敵に見えないと悩んでいる方。
- 渾身のディスプレイを作ったのになぜかなぜかパッとしない方。
- 学園祭のお店みたいなディスプレイから抜け出せない方。
- 売れるディスプレイを作りたい方。
ポイント#5 目線の位置を意識する
今回は目線の位置を意識することの重要さについて考えてみます。
わたし的には、ディスプレイを作るときに、
”目線を意識する”ことがとても大事なポイントだと思っています。
順番に説明していきます。
目線の位置とは
今回この記事で説明する”目線の位置”とは誰の目線かというと、
当たり前ですが、お客様の目線の位置のこと。
よく、"お客様視点が大事"などと言われますが、ディスプレイを作っているときは、とかく自分目線になりがちです。
お客様の目線の位置を意識したディスプレイだと、
とても見やすいディスプレイになります。
なぜ目線の位置を意識するのが必要か?
商品をお客様にみてもらうためには、いかに工夫して立ち止まってもらえるのかが勝負です。
もとをたどれば、これまでの#2〜4の記事で一貫してお伝えしてきたことです。
#2アイキャッチを作れ、#3空間で魅了しろ、#4グルーピングでみやすくetc..
何だか小言みたいですね汗・・・。
そう、結果的には全てお客様の目線。
だから非常に重要なんです。
しかしながら、ディスプレイを作るときには手元ばかり気になって主観的になりがちです。
作っているうちに客観的に見れなくなることがよくあるのです。
そんなとき、お客様の目線の位置がどこにあるのかを思い出すことで、
自分の作ったディスプレイを客観的に見れるようになります。
お客様の目線の位置はどこ?
お客様視点で考えることが大切なのは、
あなたも何となくわかっていると思います。
自分の作品を手にとってもらうために、
どんな風にディスプレイすれば立ち止まってもらえるか?
そう思ったからこそこの記事にたどり着いてくださってるのですよね。
では、お客様の目線の位置は具体的にどこにあると思いますか?
お客様の目線の位置はひとつじゃない
お客様の目線の位置はココですとは絞れません。
じゃどうするか。
お客様目線の位置はその現場ごとに確認するのが一番ですが、
今回は想像してみましょう。
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小さな公園のマルシェに、
ハンドメイドアクセサリーのお店を出店すると仮定します。
広場にはたくさんのお店が出ています。
ハンドメイドのお洋服、アジアン雑貨を売っているお店。手作りお菓子のお店etc...
その中のひとつがあなたのハンドメイドアクセサリーのお店です。
では今度はお客様の立場になって次の質問に答えてみましょう。
Q1 お客様のあなたはマルシェの広場に入ってきました。
たくさんのテントにたくさんのお店。目に飛び込んできたのは何ですか?
A 白いテントの数々
B お店の看板
C カフェの旗
Q2 あなたは通路を歩いていると、好みのハンドメイドアクセサリーがありそうなお店を見つけました。一番気になったのはどんなところ?
A おしゃれで可愛い店員さん
B 盛りもりにピアスがディスプレイされているピンナップボード
C テントの上から吊されているお洒落な雑貨
Q3 あなたは、そのハンドメイドアクセサリーのお店の雰囲気が何となく気になったので、実際にお店をのぞいてみることにしました。
商品をよく見るために、あなたはどうしましたか?
A テーブルの際まで近寄ってみた
B 商品を上から覗き込んだ
C 実際に手にとってみた
Q4 あなたはその中のひとつのピアスが気に入りました。どんなところが気に入りましたか?
A どんな風に作られたのか書かれたPOPが興味深くて気に入った
B 買いやすい値段だったから気に入った
C 実際に鏡で耳にあててみたら可愛かったから気に入った
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どうでしょう?
マルシェのお買い物。想像できましたか?
4つ質問に、それぞれ2〜3個の選択肢がありました。
正解は・・・
全部です!
なぁ〜んだと思ったらすみません。
お客様のあなたが、素敵なピアスに出会うまで、
目線がどのように変わっていったか、イメージできましたか?
これがお客様の目線がたどる大まかな流れです。
ひとつずつ解説します。
遠くから近くへ移行する
今回はマルシェを例にあげましたが、
店舗の中の一角がディスプレイの場所だった場合でも基本的には同じです。
お客様の目線は遠くから始まり、徐々に近づいてきます。
お客様の目線が遠いとき
Q1のあなたがマルシェの会場に入ったとき、
目当ての店は他のたくさん出店しているお店の中のひとつにすぎません。
たくさんのお店はどれも同じに見えるでしょう。
その中で気づいてもらうためには、
お客様がいる場所からお店が認識できる大きさの
”何か”がないと見つけてもらえません。
この時点ではお客様の目線の位置はお店からかなり遠いので、工夫が必要です。
例えば、看板やPOPを掲げる、旗を出す、テントに目立つ装飾をするとか。
掲げる場所も、遠くからでも見えるように高いところに掲げる必要がありますし、大きさも大きくなければ目にとまりません。
お客様の目線がやや近づいたとき
Q2では、お店の前の通路で足が止まりました。
お客様はこの時、お店の全体像が視界に入る位置にいたといえます。
このときお客様とお店の距離は2〜5mくらいでしょうか。
何となく雰囲気が良さそうに見えてはいますが、
まだ商品の細かいデザインまではよく見えていない段階です。
ではQ2でなぜ気になったのか。
A おしゃれで可愛い店員さん
B 盛りもりにピアスがディスプレイされているピンナップボード
C 上から吊されているお洒落な雑貨
という選択肢にしましたが、
通路から少し離れてもわかるような、世界観や醸し出す雰囲気が
演出されていたということになります。
ディスプレイをしっかり作り込んでいても、
通路にいるお客様に、お!と立ち止まってもらえるようなものがあること。それがポイントです。
目線位置は高め
通路からお店を見るときにはお客様はかかんだりしていないので、
立っている状態の目線でパッと目に入ったということになります。
必然的に、
立っている店員さん
平置きのアクセサリーではなく、高さのあるピンナップボードや
上から吊ってある雑貨が目に入った。
2〜5mの距離の通路からでも認識されるためには、
”高さ”があるディスプレイを組み立てると効果的です。店員さんもマネキンと同じ意味合いです。
お客様が近づいたとき
一番よくみえる場所にやっと近いてもらえました。
Q3、Q4では、お客様は覗き込んだり、
実際に手にとれるほど距離が近くなっています。
目線の距離がデザインの細部を認識できる位置まで近づきました。
のぞいてみて飽きないディスプレイを作る
お客様が商品の前に立った時は、
目の前にたくさんの商品が並べられていて、
お気に入りはないか興味を持ってくれている状態です。
この状態では、
手に取りやすく並んでいる、
試着ができるような鏡が用意されていたり、
デザインの説明POPがあったりと、
至近距離でお客様を接客できるような工夫をちりばめましょう。
なになに?こんな風に作っているなんてすごい!
と、思ってもらえるような、
あなたのこだわりがわかるPOPがあってもいいですね。
コーディネート例や着用POPがあったら、
お客様は想像がふくらんで鏡に合わせてみたくなります。
高低差をつける
のぞき込んでもらえるからといっても、すべての商品が平置き状態では
すぐに飽きられてしまいます。
見ていて飽きないように、ほどよく高低差ができるように什器を組むのがコツです。
什器の高低差をしっかり意識すると、見ていて飽きないディスプレイになります。
このときは手を伸ばして触れる高さが目線の位置になっています。
それぞれの目線の位置にそれぞれの役割がある
面白いのは、Q3ではもう看板は視界に入っていないこと。
お客様の目線が変化したのがわかりましたか?
遠い・やや近い・近い、という風にお客様の目線の位置に合わせて
ディスプレイの目的が違い、それぞれの役割を意識すること。
これがディスプレイを作る上で大事なポイントです。
一生懸命にテーブルの上にディスプレイをしたとしても、
近づいてのぞき込むまで見えなかったら、
足を止めてもらえる確率は減ってしまいます。
一方、目立つ看板に目が止って近くに行ったけどがっかりなディスプレイだったら、
お客様はお店の前を素通りでしょう。
ショーケースの中にディスプレイする場合の注意点
ショーケースの中にディスプレイする時も注意が必要です。
特に、腰の高さくらいの低い位置にあるケースの場合、
かなり近づかないと商品は見えません。
ジュエリーショップではこの高さのショーケースをよく見かけます。
この時、お客様の目線は2段階になっています。
- ショーケースの前に立った時の目線
お客様がケースの中の商品に気づき、
その前で立ち止まった時の目線を考えてみましょう。
この場合は斜め上からケース全体を少し引きでみています。
少し引いた状態でもケースの縁が影にならないか、
奥すぎて商品が見えない状態になっていないかなど、
チェックする必要があります。
ケースの奥の方にディスプレイするものは、少し高さを出して並べることで、
引きの目線で見ても奥にディスプレイされている商品が認識でき、
立体的に見せることができます。
- ケースを上からのぞいた時の目線
そしてもうひとつがのぞきこんだ時の目線です。
ケースの上からのぞいてたときに、
美しく魅力的にディルプレイされているかを確認します。
奥の方に高さを出しても、のぞいた目線でも問題なく見ることができます。
ジュエリーショップで見かけるようなショーケースは、
ケース自体の高さがあまりないため、大きな高低差をつけにくいです。
そのかわり、のぞいた時の商品の配置の構図を意識したり、
高級感を意識して余白をたっぷりとるなどの工夫が必要になってきます。
通路の外にまで出てしまうとケースの中は見えないので、
ケースの外側にアイキャッチを作っている場合がほとんどです。
例えばケースの上に小さなコーナーを作ったり、
POPやイメージポスターなどで通路から見えるように工夫しています。
ジュエリーショップでは高級品をあつかうので、
ケースで展開しなければならないのですが、
のぞき込んでもらうことでお客様との距離を近づけ、
じっくり接客するのに向いているという利点もあります。
ディスプレイはお客様の目線の位置に合わせる
いかがでしたか?
今回は"ポイント#5 目線の位置を意識する"
について深堀りしてみました。
お客様の目線の位置を意識すると、気をつけるポイントがたくさんあることがわかってもらえたと思います。
具体的には、距離感。
どの距離感で見られていても目にとまる工夫をしておくことが重要ということをお伝えしました。
- 距離が遠く離れた位置(10m以上)
- ディスプレイされた場所の前に立った時(2〜5mくらい)
- 目の前に立った時(0〜1m)
ディスプレイを作るときの参考になれば嬉しいです。
次回は"ポイント#6 細部を意識する" についてお伝えします。
どうぞお楽しみに^^